CAD大手AutoDeskによる超専門的なテキストコンテンツ「Line//Shape//Space」 【コンテンツマーケティング・ケーススタディ4】
アメリカのContent Marketing Instituteが2015年8月初め、今年のコンテンツマーケティングアワードのファイナリスト[1]を発表しました。
コンテンツマーケティングアワードはコンテンツマーケティング業界で最も権威のある賞とされ、四つの部門でそれぞれ最優秀賞が発表されます。
今年は9月10日にクリーブランド州オハイオで授賞式が開催されます。四つの部門はコンテンツマーケティングプロジェクト・オブ・ザ・イヤー、最優秀エージェント(二部門)、最優秀コンテンツマーケッターです。
今年はそれぞれの部門に1,200人のエントリーがありました。エントリーはそれぞれマーケティング戦略、物流戦略、デザイン、コンテンツの質から審査されます。
中でも注目されるのはコンテンツマーケティングプロジェクト・オブ・ザ・イヤーと最優秀コンテンツマーケッターの二部門ですが、今回はコンテンツマーケティングプロジェクト・オブ・ザ・イヤーのファイナリストの中から注目すべきプロジェクトを見てみたいと思います。
Line//Shape//Space・プロジェクト
コンテンツマーケティングプロジェクト・オブ・ザ・イヤーのファイナリストの筆頭に挙げられているのが、CADソフト製造大手オートデスクが展開しているLine//Shape//Space・プロジェクトです。
このCADソフトは日本でも販売されており、日本法人も設立されています。
本プロジェクトはアウォードの最優秀賞発表前に先行して選ばれる個別カテゴリ戦略部門賞で「最もイノベーティブなコンテンツ流通戦略賞」を受賞しました。ユニークなコンテンツの内容と、シンプルで確実なコンテンツ流通戦略が高く評価されています。
スタンダードなブログコンテンツ
テキストベースのコンテンツはオートデスクのユーザー事例を中心に構成され、ビジュアル的にも美しく仕上がっています。
各記事のテキストは相当の分量ですが、写真が随所に盛り込まれ、読みやすい構造になっています。
サイト全体はワードプレス風のブログコンテンツで構成され、ライトでシンプルなイメージを見る人に与えます。テキストベースの典型的なブログで、動画や音声等のコンテンツは使われていません。
ソーシャルメディアとの連携は行われており、ツイッター、グーグルプラス、カンフー・ドラフター[2]とそれぞれシェアしています。
コンテンツは「アイデア&ビジョン」「サクセスストーリー」「ビジネスアドバイス」の三つのカテゴリで構成されています。
専門的な事例を紹介
「アイデア&ビジョン」ではドローンとオートデスクの建設用ソフトを使って建設管理コストとエミッションを大幅に削減した事例や、CADソフトとバイオ3Dプリンターを使った臓器プリントプロジェクトの事例等が紹介されています。
読者にインスピレーションと、新たなビジネスのアイデアを与える、豊富な情報量を持つ内容になっています。
「サクセスストーリー」ではオートデスクがマイクロ・マニュファクチャリングと呼ぶケースを中心に、各種の「サクセスストーリー」が紹介されています。
オートデスクのクラウドベースのアプリケーションを使ってプロダクトデザインの作業時間を大幅に削減した事例や、プロダクトデザインを全く知らない素人がCADソフトを使って「モノづくりの民主化」を実現した事例等々、現代のアメリカで進んでいるメーカームーブメントを体感できるようなコンテンツに仕上がっています。
ビジネス向けコンテンツで見込み客獲得
「ビジネスアドバイス」では、サラリーマン技術者からフリーランスのエンジニアに転じた人からの、これからフリーランスを目指す人に向けたアドバイスや、究極のサステナビリティーを目指す石鹸会社の話、医師から靴のデザイナーに転じ、会社化して事業を拡大させている女性アントレプレナーの話題等々が紹介されています。
また、建設業のためのタイムマネジメント法、ビジネスパートナーシップからの離脱方法、事業立上げ失敗を回避する方法といった、文字通り具体的なビジネスアドバイスのコンテンツが盛り込まれています。
ブログコンテンツとは別に『スモールビジネスソサエティ・成功の秘密』と題したEブックがダウンロード出来るようになっていて、ダウンロードにはユーザー登録が求められます。
ここで得られるユーザー情報がオートデスクの見込み客リストになります。
無料で高品質なEブックを配布
Eブック『スモールビジネスソサエティ・成功の秘密(The small business society: Secrets to success)』は、レターサイズ38ページ分のPDFファイルで提供されており、その内容は非常に充実しています。
スタートアップ企業の経営者を対象に書かれており、30のティップスで構成されています。
「計画の作成」「リーンスタートアップ習慣の確立」「アウトソースでコストと時間の節約を」から「競合に接近せよ」「獲物を見つけよ」「パートナーシップを大切に」まで、スタートアップ・企業経営に参考となるノウハウが随所に盛り込まれています。
CADソフトメーカーが書いたEブックと言うよりは、経営コンサルティングファームが書いた経営指南書と言うべき内容になっています。
実名の専門性をもったライター陣
多くのアメリカの優れたコンテンツマーケティングでは匿名ではなく、ライターが実名を記したコンテンツを掲載していますが、Line//Shape//Spaceのコンテンツは全てライターの名前入り記事として掲載されています。
質の高いコンテンツライターが各種の記事を執筆していて、ライターはそれぞれ「ビジネス」「メーカー」「エンジニアリング」「フリーランス」「アーキテクチャー」「エコロジー」といったそれぞれの得意分野を担当しています。
コンテンツの量とともにコンテンツの質を確保しようとしている事が見てとれます。なお、現時点では40名程度のライターが記事を執筆しています[3]。
Line//Shape//Spaceは、アメリカのメーカーのみならず、あらゆる規模の企業に「アイデアとインスピレーション」を与えることを目的にデイリーベースでコンテンツを発信しています。
メーカームーブメントが進行中のアメリカで、メーカーを中心に「モノづくりの民主化」を目指すオートデスクのコンテンツマーケティングは、確実に成果を上げているようです。
過去記事の紹介
「シボレー」名門ブランドが行う消費者との対話 【コンテンツマーケティング・ケーススタディ3】
「RedBull」宇宙からスカイダイビングに800万人の視聴者 【コンテンツマーケティング・ケーススタディ2】
「GoPro」300万人を超えるYouTube登録者 【コンテンツマーケティング・ケーススタディ1】
引用・参考情報
[1] http://contentmarketingawards.com/2015-winners/
[2] カンフー・ドラフター(Kung Fu Drafter)http://www.kungfudrafter.com/ はCADに関するテーマを扱うブログスタイルのソーシャルメディア。CADマニアが集まる事で知られる。
[3] http://lineshapespace.com/author/
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