リーマンショックで倒産寸前からコンテンツマーケティングで奇跡の復活。リバープールズ・アンド・スパ【コンテンツマーケティング・ケーススタディ13

Photo credit: Rum Bucolic Ape / CC BY-ND

アメリカのミドルクラス以上の家には大抵プールがあり、そのプールを設計・施工するプール施工業者が数多く存在しています。バージニア州のリバープールズ・アンド・スパ(以下、同社)もその1社です。

リーマンショックで経営危機に

プール施工の仕事は景気の影響を大きく受けます。リーマンショック発生から一年後の2009年、同社の受注数は月6件から月2件へと大きく落ち込んでいました。

受注していた仕事のキャンセルが続き、前払金の返金請求が相次ぎ同社の資金繰りは窮迫。銀行口座が三週間連続でマイナスになる状態でした[1]

経営を立て直すため、同社はマーケティング戦略をゼロから再構築する事を決意し、年間25万ドル(約3千万円)投じていたラジオCM、テレビCM、PPC広告を全て中止。新しくブログと動画を中心としたコンテンツマーケティングに切り替えました。

予算を最初から出す業界の禁じ手を使う

プール業界では予算は顧客に対面してから話始めるのが一般的です。種類やオプションが数多くあり個別の商談を一般化する事が困難だからです。

これに対し同社のシェリダン社長は「インターネットを使う目的は、多くの場合、何らか特定の質問に対する答を探す事だ。プール業界も含めた多くの業界では、インターネットからそれほど多くの答えが得られない。なぜなら、そうした業界は人々が知りたい答を教えたくないからだ。それならば、私が答えれば多くの人を引き寄せられるのではないか」と考えました。

そして自宅にプールを作りたい、または作り替えたいという人が最初に抱く質問は「プールを作るのにいくらの予算が必要か?」だと考えブログと動画にその答をまとめ、投稿しました[2]

またプールの種類やサイズごとの予算レンジと、自動プールカバー、安全カバー、照明などのオプション情報を詳細に自社ブログへ掲載しました。同社は情報を逐一公開し、顧客が予算を判断するための参考情報として活用してもらおうと考えたのです。

「価格を事前に伝えることは出来ないが、大体の価格帯を伝えるようにしている」と説明しています。

同業者を含めたランキングを作成

また同社の活動エリア全体のプール施工業者をリスト化し優れた業者をランキングにしてブログで公開しました。顧客の信頼を確保するためランキングに自社は含めませんでした。

顧客への声に直接答える会社として評判に

YouTubeにも顧客が知りたい質問への答をまとめた動画を投稿しました。

予算や工期などの基本的な質問に加え、プールタイプ毎の特徴を説明する動画や、他の業者があまり説明したがらない、プール施工で生じがちな問題を詳しく説明する動画も投稿しました。

同社のブログ記事や動画は口コミで話題となり、正直な会社だという評判が広がり始めました(同社はTwitterやFacebookでブログや動画をリンクシェアしていません)。

ブログ経由の集客とSEO効果

これらコンテンツマーケティングの結果は驚くべきものでした。

プール予算を解説したブログ記事は投稿から24時間でグーグルの検索結果1位に浮上しました。しかも検索ワードは「プールの予算」と関連性の高い物ばかりでした。

ブログから集客し獲得した新規売上は170万ドル(約2億円)に達し、会社全体の売り上げも過去最高を記録しました。

また年間25万ドルもかけていた広告予算は10分の1の2万5千ドルに削減されました。

シェリダン社長は「とにかく顧客の質問に耳を傾け、それら1つ1つにしっかりと答えることです」とアドバイスしています。

今でもプール業界のように、情報を公開したくない業界は少なくありません。情報が少なくネット上で閉鎖的な業界であればコンテンツマーケティングが機能する余地が十分にありそうです。

過去記事の紹介

引用・参考情報

[1] http://www.nytimes.com/2013/02/28/business/smallbusiness/increasing-sales-by-answering-customers-questions.html?pagewanted=all&_r=1

[2] http://www.riverpoolsandspas.com/blog/bid/22477/Fiberglass-Pool-Prices-How-Much-is-My-Pool-Really-Going-to-Cost


 

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