政治的発言もする。企業理念を表に出した共感型ソーシャルメディア運用「ベン&ジェリーズ」【コンテンツマーケティング・ケーススタディ8】

Photo credit: francisco_osorio / CC BY
ベン&ジェリーズ[1]は米バーモント州発祥のアメリカのアイスクリームメーカーです。
幼馴染同士のベン・コーエンとジェリー・グリーンフィールドの二人が1978年に12,000ドルを投資して始めたガソリンスタンド内のアイスクリームスタンドが始まりです。
当初から高品質のアイスクリーム製造を目指していた同社のアイスクリームはたちまち評判となり、1981年には某有力雑誌から「世界最高のアイスクリーム」の評価を受け、一躍全国ブランドになりました。
1996年には売上1億7千万ドル(約200億円)を計上するまでに成長し、2000年に同社はイギリスの大企業ユニリーバに買収され、傘下に入っています。
今では世界中で熱心なファンを持つベン&ジェリーズですが、創業当初からユニークなマーケティングを展開してきていることで知られています。
そして今日、同社は各種のソーシャルメディアを使ったコンテンツマーケティングを展開し、マーケッターの注目を集めています。
今回はベン&ジェリーズにコンテンツマーケティング成功のポイントを学んでみましょう。
政治的メッセージを発するTwitterアカウント
現在ベン&ジェリーズのTwitterカウント[2]には29万2千人のフォロワーがおり、非常にユニークな活用をしているのが特徴的です。
普通、企業のTwitterカウントは自社製品・サービスに関するニュースをツイートする等の当たり障りの無い活用方法が一般的で、下手な発言をして炎上させてしまうと怖いですから無難な内容に終始するものです。
それに対し同社のTwitterはユニークな性格を持った「法人」としてツイートしているのが特徴です。
例えば、同社が以前から関与している地球温暖化防止プロジェクトへの参加を求めるツイートや、LGBT問題(レズビアンやバイセクシャルなど性的少数者の 頭文字をとった総称)への積極的参加を求めるツイート、コロラド州の薬物規制問題に関するツイートなどを積極的に発信しています。
※注釈、米国南部のニューオーリンズは海面よりも低く堤防に囲まれており、海面上昇に悩まされています。
これら社会的メッセージに対しTwitterコミュニティは大きく反応しており、コロラド州の薬物規制問題に関するツイートは9,000回以上リツイートされ、多くの返信が付き、5,000人以上の「お気に入り」に登録される結果になりました。
BREAKING NEWS: We're hearing reports of stores selling out of Ben & Jerry's in Colorado. What's up with that? http://t.co/zBs8nyxZWn—
Ben & Jerry's (@benandjerrys) January 02, 2014
※注釈、米コロラド州で嗜好用大麻の合法的な販売が開始された日のツイートです。
政治的発言も行うFacebookアカウント
同社のFacebookページ[3]には今日現在797万人ものファンが存在します。Twitter同様、Facebookでも同社は積極的に社会性の高いメッセージを投稿しています。
しかも「地球温暖化をなんとかしないとベン&ジェリーズのコーヒー味アイスクリームが食べられなくなりますよ」等とジョークとも取れるし、それ以上の意味があるとも取れる強めのメッセージを発信しています。
それに対しファンが賛否両論のコメントを投稿しシェアされるなど活発なエンゲージメントが起こっています。
また同社を愛する「フレーバー・グル」の動画や、自社のアイスクリームを使ったレシピを紹介する動画なども投稿され、コミュニティを盛り上げています。
アイスの中に政治的発言が混ざるInstagramアカウント
ベン&ジェリーズはInstagramも広く活用しています。今日現在Instagramのアカウント[4]には56万人ものフォロワーがいます。
Instagramでは主に自社の製品の写真が投稿されており、中にはイベントで撮影されたものやLGBT問題を彷彿とさせる写真も投稿されています。
写真はそれぞれ1万件以上の「いいね」が付けられ、多数シェアされて拡散しています。
InstagramでもTwitterやFacebook同様、投稿に賛否両論のコメントが多数書き込まれ、色々な意味で大変な盛り上がりを見せています。
企業理念とソーシャルメディアの関係
ベン&ジェリーズのコンテンツマーケティングは、地球温暖化問題、LGBT人権問題、持続可能性問題などに対する、企業理念や哲学をベースに展開されています。
これはベン&ジェリーズという企業のキャラクターと姿勢を明確に打ち出し、そのキャラクターと姿勢に共感する消費者に興味を持ってもらい、コミュニティ化させるという戦略に各種ソーシャルメディアが使われているようです。
強い理念や哲学を持つ企業、あるいは社会的な自社の立ち位置が明確な企業は、リスクがとても高いですが同様の戦略が活用できる可能性があると思います。
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引用・参考情報
[2] https://twitter.com/benandjerrys
[3] https://www.facebook.com/benandjerrys
[4] https://instagram.com/benandjerrys/
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