少予算でも大丈夫?コンテンツマーケティングでビジネスを小さく開始して成功する3つのポイント

Photo credit: Living in Monrovia / CC BY-SA
いざコンテンツマーケティングを始めようと思ってはみたが、いきなり予算とリソースをつぎ込むのはリスクが大きすぎる……。そんなふうに考えるのはビジネス上、当然のことだと思います。アメリカPulse Point社の調査(2015年)では、調査対象となった企業のうち55%がコンテンツマーケティングの最大の障壁として予算とリソースをあげており、他の理由を引き離し1位となっています(※1)。
一方で、コンテンツマーケティングは従来のマーケティングにくらべ小さな企業の成功例も多く、実際に多くの企業はできることからスタートをしています。
インターネットが登場する以前の事例ですが、シアトルの小さなオーディオ専門店Magnoliaはコンテンツマーケティングの活用によって短期間に店舗を拡大し、2000年に家電量販店大手Best Buyに87億円相当で売却されました。Magnoliaがどのように低コストでありながら戦略的なプランニングをおこなったのか、その詳細をみる前に、小さく開始して成功するために押さえるべきプロセスをPlan/Do/Checkのステージに分けて考えてみましょう。
1. なるべく具体的な目標とペルソナを定め、無駄を生じさせない
コンテンツマーケティングによって何を達成したいのか、明確な目標を事前に設定することは、小さく始めるためには必須です。サイトへのトラフィックなのか、コンバージョンなのか。設けた目標を計る指標がすなわちKPIとなります。
コンテンツマーケティングの効果を正しく測定するために、開始前の数値を取ります。またプロジェクトを通じKPIをチーム全体が共有できるようにし、様々な局面での小さな判断の基準とすることで、アクションの無駄を省けるでしょう。
次に、ターゲットとなる受け手、すなわちペルソナを定めます。コンテンツの内容と発信する手段(コミュニケーション・チャネル)は、コンテンツを誰に向けるのかによって決まります。大きくスタートできるのであれば複数のチャネルや内容をテストすることもできるでしょうが、小さく開始するには具体的なペルソナを決めることがまず重要です。
2. 目標に合った「始めやすいチャネル」を採用する
Content Marketing Instituteが行った北米BtoC(2015年)によると、コンテンツマーケティングに使われているチャネルは、順に以下のようになっています(※2)。
- SNS(Blogを除く) 93%
- メルマガ 80%
- サイト内記事 78%
- イラスト・写真 75%
- ビデオ 74%
- イベント 69%
- Blog 67%
- ウェブアプリ 47%
- インフォグラフィックス 45%
- マイクロサイト 44%
- 携帯用アプリ 42%
それに対し、効果的と見なされたチャネルは次の通りです。
- メルマガ 66%
- イベント 63%
- イラスト・写真 59%
- SNS(Blogを除く) 58%
- Blog 54%
- 動画 54%
- サイト内記事 53%
- 携帯用アプリ 49%
- ウェビナー・ウェブキャスト 46%
- オンラインプレゼンテーション 45%
以下は、BtoBで効果的とされたチャネルの上位3位です(※3)。
- イベント 69%
- ウェビナー・ウェブキャスト 64%
- 動画 60%
BtoBの場合は顧客が見えやすいため、より人と人とを直接つなぐチャネルが功を奏しています。BtoCでは、2位のイベントは除くと、受け手にとって手間が少ない方法が上位に入っています。
ただし、Content Marketing Institute以外にも数社の調査を見ると効果についての結果にはばらつきがあり、統計をうのみにチャネルを選ぶことは現実的ではないと思います。あくまで参考として、あらかじめ設定した目標とペルソナから決めるべきでしょう(※4、※5)。
さらに、予算をおさえるために、次のような初期条件も判断材料にするとよいでしょう。
- 社内リソースで始められるチャネルを考慮する。
- 再利用できるコンテンツが社内にないか、もしくはコンテンツ化できるナレッジがないか考える。
- 既存の取引先でコンテンツ制作を外注できるあてがないか、考える。
コンテンツの内容も、目標とペルソナに合わせて決めていきます。内容を決定する際には、自社のコンテンツを他社のものと差別化できる要素をきちんと定義することが大切です。もはやコンテンツマーケティングはめずらしいことではありません。競合と何が違うのか? 独自性を定義することは、無駄のない効果的なマーケティングへとつながります。
3. 効果の検証をし、戦略を洗練させる
コンテンツの発信後には、たとえば初めは半期、以降は四半期を目安に、その効果を検証します。有効でないものは切り捨て、効果の認められたものは別のチャネルへ展開するなど戦略を洗練させて、ペルソナを囲い込みます。
冒頭でふれたオーディオ専門店Magnoliaを見てみましょう。インターネットが登場する以前のコンテンツマーケティングですが、大変分かりやすい事例です(※6)。
1954年、シアトルの小さな写真館としてスタートしたMagnoliaは60年代にオーディオ専門店へ転じます。1970年代、家電量販店の低価格競争にさらされたMagnoliaは次のような戦略を立てます。
価格よりも価値を提供する。そのために店が推薦するステレオシステムを価格帯ごとにセット販売、さらにカスタマーサービスを充実させる
手法として新聞の折り込みチラシを選択、紙面の70%に広告、30%にステレオシステムの賢い買い方のガイド、そして10%に店の理念と購入後のサポートについての文章を掲載しました。
コストを下げるために、印刷は二色刷り、早めの入稿をし、一方でデザインにはお金をかけました。デザインは同じレイアウトを使い続けるため元が取れるという計算です。
チラシの内容を改訂するのは四半期に一度と頻度が低いため、ラジオ広告やイベントなどを一方で行いました。
結果を検証し、チラシの配布場所を都市部に限定し拡大、ラジオ広告については局を増やさずに、同じ局で宣伝をする時間を拡大することを選択しています。
2000年にBest Buyへ87億円相当で売却されたMagnoliaは、現在はMagnolia Home Theaterというハイエンド・オーディオビジュアル・ブランドとしてBest Buyの一角を担っています。
引用・参考情報
※2 B2C Content Marketing 2015 19ページ目
※3 B2B Content Marketing 2015 21ページ目
※4 IMN社 2014 Content Marketing Survey Report 7ページ目
※5 HubSpot社 DRIVING CONTENT MARKETING SUCCESS IN 2014 The European Edition 22ページ目
※6 This 7-Step Content Marketing Plan Earned an $87 Million Paycheck
※本サイト(scripta.jp)内のコンテンツの転載を禁止します。
※始めたばかりのブログですが、公開記事をリライトしたものが転載されているとの連絡を複数受け取っています。引用の範疇を超えた転載記事を短期間で多数公開しているサイトへは法的措置を含めた対応を検討します。
テキストコンテンツの品質が低くて困っていませんか?高品質なテキストコンテンツが必要な方はSCRIPTAから調達して下さい。SCRIPTAのサービス紹介を見る。
コメントを残す