コンテンツを増やした結果は購読解除。でも80~90%のコンテンツは効果が出ない。コンテンツの質と量、どちらが大切か?
質と量、どちらを優先してコンテンツを発信するべきなのか?
この問いは、コンテンツマーケティングというコンセプトが生まれた当初から、たびたび俎上にのせられてきました。
どちらにも長所があるがゆえのジレンマなのですが、その主だった長所について整理してみましょう。
質の長所
- ブランド力を高め、未知の顧客をより多くよび込む要因となる。
- 競合と比較検討をするお客様の、購入への決断を左右する要因となり得る。
量の長所
- サイトへの流入が増える。
- 更新頻度を高める事ができる。
記事の公開数によって3.5倍以上の流入差が発生
アメリカのマーケティング会社HubSpotの調査によれば月に16本以上のブログ記事をアップする企業は、月に4本以下の記事をアップする企業の3.5倍以上の流入数を稼いでいます[1]。
この数字を見ると「記事公開数を増やそう!」と思う所ですが、量を増やすことに集中すれば質を維持出来なくなり、質を気にしすぎると量を増やす事が出来ないジレンマが発生します。
低クオリティのコンテンツ配信を増やした結果、配信停止が増加
HubSpotが質と量のバランスを考えるためにおこなった、面白いテストがあります[2]。HubSpot自社のブログを使っておこなわれた一連の実験の一つ目として、次の3つのバランスで記事の発信をしました。
- 普通のクオリティで週23本
- 高いクオリティで週5本(Aの半分)
- 低いクオリティで週5本(Aの1.5倍)
シンプルにするために、発信日からその金曜日までの短期的な流入数だけを観測します。週末を対象外にしたのはBtoBへの効果だけを見たいため、またPPCなど広告からの流入もカウントから除きます。
結果はC(量を重視)がもっとも流入数が多く、ただ、わずかにAに勝るというものでした。
一方でCでは配信停止の依頼が多く見られました。全体としてはじめに述べた量の長所を裏づける内容です。
普通のクオリティで程よく配信するのが最も費用対効果が良い
この結果からHubSpotは、受け手はより多くの記事を読みたがっているが消化できる数の限度があり、配信停止などのネガティブな影響を鑑みてAのバランスがもっとも良いとしています。そして質については、「結果になんら影響を与えない」と結論づけています。
では、質が効果的であるというのはコンバージョンへの決定力に限ったことで、発信バランスを決めるうえでは気にかけなくとも良いのでしょうか?
もちろんそのようなことは無く、質の効果を考えるときには、この実験で省略された条件に留意しなければなりません。(HubSpotの実験でも、続けて条件を広げて考察をしています)。
質の高いコンテンツは長期的に効果をもたらす
ロングテールな流入はコンテンツの質によって見込まれる効果です。
月ごとに流入数を見たときに、コンテンツによっては発信から2ヶ月目の落ち込み度合いが他よりも緩やかで、そのまま一定の流入を生み続けるものがあります。
HubSpotによる別の調査では、サイトへの流入の75%以上は1ヶ月以上前の記事へのアクセスであり、流入数全体を考えたときに、ロングテールの積み重ねが主軸となる事がうかがえます[3]。
チャネル別に求められる質とユーザーの傾向
ブログ記事であれば豊富で専門的な文章量、Instagramではブランドの魅力的な写真、Facebookでは驚きを与えるショートムービー等、ターゲットや媒体によって求められる質の傾向が異なるため「質」という言葉そのままをコンテンツ制作の指標とすることは難しいです。
情報の受け手の状態(商品を知らない、興味を持っている、ファンになっているなど)を縦軸に、どの媒体で発信するかを横軸としてコンテンツをマッピングし、その各々の質がどうあるべきかを見ることがここでの解決策です。
たとえば「新規リードをターゲットとした内容は浅いブログ記事」等と、質の評価まで含んだマッピングがおこなえます。
マッピングをした後は媒体別にパフォーマンスを見ていきましょう。
メルマガやSNS発信などのアウトバウンドの媒体とは別に、オーガニック検索などインバウンドの流入が多いコンテンツを探ることが、質の効果を評価する上で鍵になります。
インバウンドの流入は有望見込み客へと転じやすく、アウトバウンドでの流入はファンとの繋がりエンゲージメントを高めます。
目的に合わせて質が高いコンテンツとは何かを判断して行きます。
コンテンツの80〜90%はトラフィックをほとんど生まない
質か量か?正しいバランスを知ることは意外に難題です。
一般にコンテンツの80〜90%はトラフィックをほとんど生まないという報告もあります[4]。
コンテンツの量が無ければヒットが生まれないのは、コンテンツマーケティングを経験する中で体感します。そして量を作るために質を落とすと、ヒットしてもブランド認知等のポジティブな影響を与えられない状況が生まれます。
ROIを最大限にする質と量を見極めて、コンテンツマーケティングを息切れさせずに継続し、成功させるのはマーケティング担当の腕の見せどころと言えるでしょう。
引用・参考情報
[1] http://blog.hubspot.com/marketing/blogging-frequency-benchmarks
[2] http://blog.hubspot.com/marketing/blog-strategy-quality-quantity
[3] http://blog.hubspot.com/marketing/blog-lead-generation-analysis
[4] http://www.forbes.com/sites/mikalbelicove/2013/09/10/content-marketing-study-suggests-most-content-marketing-doesnt-work/
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