BtoBで91%に好評なインタラクティブコンテンツと役に立つツールとその作り方

Photo credit: codepo8 / CC BY

最近ますます目立つインタラクティブコンテンツ

コンテンツマーケティングが浸透し、私たちの身の回りにコンテンツが溢れているなか、インタラクティブコンテンツは競合と差別化をするための一つの有効な手段となっています。

目立つための変化球としてだけでなく、受け手が自主的に関わる事が出来るインタラクティブコンテンツはマーケティングされていることを感じさせずにブランド価値を伝えられる本質的なメリットを内包した方法です。

BtoB顧客の91%に好評、45%がリサーチに効果的と評価

アメリカのマーケティング会社Demand GenがBtoBビジネスのクライアントを対象に行った調査では91%がインタラクティブコンテンツをもっと見たいと答えており、45%が購買の意思決定をするまでのリサーチ段階でインタラクティブコンテンツが大いに判断の助けになると答えています[1]

インタラクティブコンテンツのデメリット

ここまでメリットばかり言葉を並べましたがデメリットもあります。

制作時間、リソース、費用が静的なコンテンツよりも掛かる点です。企画や制作管理も静的コンテンツよりも時間が掛かります。

とはいえ、インタラクティブコンテンツをより簡単に制作のできるツールやサービスも徐々に登場してきており時が経つにつれコストも下がる事が予想されます。

インタラクティブコンテンツの種類

インタラクティブコンテンツにはどのようなものがあるか、列挙をしてみましょう。

  1. クイズ
  2. 計算機
  3. インタラクティブ・インフォグラフィックス
  4. インタラクティブ動画

クイズや計算機はどちらかというと一時代前のトレンドで、最近では下の2つが話題を集めています。

インタラクティブなインフォグラフィックスとしてはエベレスト登山を詳細に説明したアメリカのワシントンポスト紙による「Scaling Everest」。

今現在、飛行中の全旅客機の軌跡が見られるイギリスのガーディアン紙による「Flights interactive」など、見ていると暫く時を忘れてしまうような良くできたものがあります。

この二つは世界中の誰もが興味を持てるようなテーマに着眼し、それにまつわるデータを視覚化するという点で共通しています。

インタラクティブ動画

インタラクティブ動画は数年前からウェビー賞(国際デジタル芸術アカデミー主催の賞)でも部門を作り表彰しており、2015年は英国のロックバンド、コールドプレイのミュージックビデオ「Ink」が大賞に選ばれています。ゲームに近い感覚で、主人公となり代わり、二択を選びながら結末への舵を取っていくというものです。

また同賞の一般投票で1位に選ばれたのはガーディアン紙による「The seven digital deadly sins」という動画でデジタルの害悪を7人の人物が実体験にもとづき生々しく語るというノンフィクションです。

デジタルな技術を使いながらも、ここでの引力は「人間」であることが秀逸で、インタラクティブコンテンツの成熟を逆に感じさせます。

新技術とドラマツルギー

人はなぜインタラクティブコンテンツを見てしまうのか? インタラクティブコンテンツを作ろうと思うとき、大きくそこを押えておくべきでしょう。

新しい技術が出たときには、はじめの内はその技術を見せるだけで注目を集められます。しかし、やがては昔ながらの作劇の技術「ドラマツルギー」(ドラマを作り上げる技法)の流用へと落ち着く――どのメディアでも共通してその傾向が見られます。

私たちは隠されたものを見たいという本能的な欲求があり、インタラクティブコンテンツは自らそれを見にいくことです。推理小説でページをめくることも、映画館で手に汗握りながら座っているのも同じ理由ですが、インタラクティブコンテンツの場合はそれを自分のペースで行え、今の時代のスピード感とライフスタイルに合っていると言えます。

「隠す」ことに続き大切なことは、何かが隠されているということが「示唆」されることです。クイズはヒントがあることで答えたい気を煽ります。

先に答えを伝えてしまうことも時に有効です。なぜなら、聞くことと見ることは違うからです。誰々が美人だと聞いたとき一層見たくなる心理や、例にあげたインフォグラフィックスによるデータの視覚化も、これに近い手法と言えるでしょう。

何を隠して、どう示唆するか? ターゲットとするクライアントの興味の中でそれらポイントを企画することが、インタラクティブコンテンツを作る事前のステップとなるでしょう。

インタラクティブコンテンツの制作ツール

最後に、いくつか簡単な制作ツールを紹介します。制限はつきますが無料バージョンが提供されているものを挙げました。

Thinglink

画像など、ビジュアル上にリンクを自由に貼ることのできるツールです。ニューヨークマガジンがサイトの文化欄で、その週の文化的なイベントや出来事をマトリックス表に落とし込んだビジュアルを掲載しています。これらはThinglinkを使って作られており、表中のビジュアルから、関連記事へ飛べる構造になっています。[2]

Prezi

かなり凝ったプレゼン資料の作れるオンライン・プレゼンツールです。作ったプレゼンをサイトへ埋め込むこともでき、インタラクティブというには単純ですが、ブログに変化をつけることはできるでしょう。

Canva

日本語への対応は限定的ですが、洗練されたデザインが簡単にできるサービスです。これ自体はインタラクティブではありませんが、Thinglinkと組み合わせることで見た目にも美しいインタラクティブビジュアルを作ることが可能です。

YouTube

YouTubeには以前アノテーションと呼ばれていた、現在はカードと呼ばれている動画内にリンクを貼る機能があり無料提供されています。動画の途中から別の動画へ飛ばすことでマルチエンディングのインタラクティブ動画が簡単に制作できます。

ウェブページで独自のインタラクティブコンテンツを作る技術

ここからはエンジニアやデベロッパー向けの技術的な情報です。

広告やイベントと連動したキャンペーン中のウェブサイトでも良くミニゲームや動的にアニメーション等のインタラクティブコンテンツを見かけるようになりました。

これらはアプリとして公開する場合もありますが、多くはウェブページ上で動作するウェブアプリとして公開されます。

Flash からHTML5・WebGL へ

昔はウェブアプリ上で動的に動作するコンテンツと言えばFlashでしたが、今はiPhone上で動作しない、セキュリティでの脆弱性の問題が多い等の理由により下火になっています。

Flashの代替えとしてHTML5/CSS3、ブラウザ上での描画に特化したWebGL(JavaScriptからネイティブOpenGLへバインディングしたもの)が利用されています。

HTML5・WebGLをサポートしたフレームワーク

2015年11月時点、最近はHTML5向けフレームワークのCreateJSでWebGLがサポートされ今まで遅く動作がもっさりとされて来たブラウザ上のインタラクティブコンテンツの開発環境と動作環境が整いつつあります。

ミニゲーム風であればStarling.js、アニメーション中心であればTweenMax.js、データドリブンなグラフやチャートであればD3.js(SVG)等のフレームワークが良く利用されます。簡単なものであればjQueryのプラグインで十分対応ができる場合が多いです。

インタラクティブコンテンツの調達

自分たちの社内でインタラクティブコンテンツを作れれば問題ありませんが、殆どの企業・組織で内製は難しいでしょう。

ウェブ上で使うものだから、との理由でウェブ制作会社にお願いしてもインタラクティブコンテンツはどちらかというとゲームやCMに近い性質のため、一般的なウェブ制作会社の得意とする所ではありません。

そのため以下のような会社または個人に依頼する事になります。

  • ゲーム開発会社(ウェブ・アプリ含む)
  • システム開発・ウェブインテグレーション会社
  • 広告代理店
  • 動的コンテンツが得意な個人事業主

広告やキャンペーンの一環として制作する機会が多いため、企画から制作・運用までを広告代理店にお願いするケースが多いと思います。

今が差別化するチャンス

インタラクティブコンテンツは制作難易度が比較的高く予算も高くなりがちです。そのため手をだすのに躊躇しがちですが競合が少ない今がチャンスでもあります。

一時期流行したインフォグラフィックスは既に飽きられつつありますが、これを動的にしたインタラクティブ・インフォグラフィックスはまだ少なく目新しさがあり注目を集めます。

次のキャンペーン、または今準備中のキャンペーンにインタラクティブコンテンツを含めてみるのは如何でしょうか?

引用・参考情報

[1] http://www.demandgenreport.com/industry-resources/research/3141-2015-content-preferences-survey-buyers-value-content-packages-interactive-content-.html 3ページ目、8ページ目

この2016/1/18の記事をもって私、小菅照和が提供するのは最後になります。本サイトが開始した2015/9月から2016/1/18日までの4カ月間に渡り全57記事の企画・編集・作成をしてきましたが、次回2016/1/18日以降の記事は弊社の別の者が担当致します。

多数のご愛読および反響を頂きまして誠にありがとうございます。次回更新にご期待下さい。

 


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1 コメント

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