初めてのコンテンツマーケティングで押さえる11の戦略的要素

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2014-2015年の戦略化状況(HubSpot社レポートをソースとする)
HubSpot社が主にヨーロッパで実施した調査によると、コンテンツマーケティング実施している71%の企業が2014年よりも2015年の方がコンテンツマーケティングに時間を費やしています[1]。
しかし、最適化された戦略の中で実施している企業はわずか12%です[2]。
コンテンツマーケティングで成果を出すための方法・戦略の開発にまで手が回っていない企業がまだまだ多いようです。
2015-2016年の戦略化状況(CMI社レポートをソースとする)
CMIから2015/9/30に発表されたレポートによると、BtoBでコンテンツマーケティングに費やす予算は過去1年間と比べて51%増加し、35%がほぼ同じ継続しています。合わせて86%のBtoB企業がコンテンツマーケティングに注力しているのが分かります[3]。
またCMI同レポートによるとBtoBで戦略的にコンテンツマーケティングを実施しており文書化されている企業が32%、戦略的に実施しているが文書化していないのが48%となっています[4]。
コンテンツマーケティングの運用が成熟しつつある傾向にあります。
日本国内の戦略化状況
2016年2月時点の国内を見ると、コンテンツマーケティングを独自に最適化した戦略の元で実施している企業はごく限られているように感じます。
そこで今回は初めてコンテンツマーケティングを実施する方向けに、戦略的にコンテンツマーケティングを導入するための手順を11個に分けて解説していきます。
1. 目標設定
コンテンツマーケティングでは目的に応じて目標設定します。以下に良く使われる目標設定を列挙します。
- ブランド価値を高める
- ブランド認知を高める
- 潜在顧客を獲得する
- 見込み客を育てる
- 販売する
- 顧客との接点を増やす(エンゲージメントを高める)
現実的な目標を設定するには、チームでコンテンツマーケティングを行う背景を共有する事が大切です。
- なぜ行うのか
- 行った先に何があるのか
- どのような行動を誘発できるか
2. 顧客が得られる利益を定義
顧客が抱えている問題の解決、悩みや不安の解消など、顧客がどのような利益を得られるかを決めます。
以下に顧客が得られる利益の一例を列挙します。
- それまで出来なかった事ができるようになった
- 思うように成果が上がらなかったのが解決した
- それまで悩んでたコンプレックスが解消できた
コンテンツのよって解決できる課題を分かり易く伝える工夫が必要になります。
3. 顧客の選定
コンテンツを提供する顧客を明確にし、選定します。
「誰のため」にコンテンツを提供するのか?をはっきりさせ問題解決や悩みを解消できるコンテンツにすることが、コンテンツマーケティングでは重要です。
万人受けするのではなく、特定の顧客だけに対してアプローチし、その人に寄り添うコンテンツとすることで、必然的に売れるようになります。
顧客を選定する際、「誰にお客様になって欲しいか?」を思い浮かべてください。その人にとって役立つコンテンツを作ることで、売れる流れが作れます。顧客を選定する際に、まずイメージを具体的に持ってください。
4. コンテンツの種類と形態の決定
顧客像を選定したらブログ、ビデオ、ニュースレターなど、コンテンツの種類と形態を選定し、種類を決めます。
顧客像に合った形や、複数の形態を組み合わせて提供するのも効果的です。
最近はビデオ形式で提供されることも増えていて、動画投稿サイトにアップしたものを使うケースも増加しています。
5. スケジュールの決定
提供コンテンツの種類や形態が決まったら準備期間、編集体制の構築期間、配信の開始日、開始後の定期更新などスケジュールを決定します。
スケジュールの決定に関しては、いつ公開するか?をまず決めた上で、逆算してスケジュールを組んでおきます。
公開までの期間は規模によりますが三カ月~半年で開始できることが多いです。場合によっては数週間での公開も可能です。
6. コンテンツ作成プロセスの確立
コンテンツ制作中・後の作業を仕組み化するため、プロセスを確立させておいたほうがあとあとラクになります。
コンテンツの作成・管理・配信と煩雑になりがちなコンテンツの管理がしやすくなります。
効率的にコンテンツを作るためのチェックポイントや、ライターとエディターの役割分担をここで考えます。
7. コンテンツ責任者のアサイン
社内でコンテンツに関する責任者を決定し、作成するコンテンツ内容と予算に関する権限を委譲します。
責任者はコンテンツで扱う分野をよく理解しており、表現方法やターゲティングといったマーケティングも熟知している必要があります。
そのため社内でもマーケティング経験のある社員を責任者にする事が望まれます。
下手にコンテンツを配信し続けるとブランド価値を下げるため、とても重要なポジションです。
8. コンテンツ制作者のアサイン
コンテンツマーケティングを行うにあたり、ここが一番の心配どころかも知れません。
ニッチなコンテンツになるほど専門知識を必要とするため、作れる人が限られてきます。
初歩的なライティングについては教育できますが、専門知識と経験は身に着けるのに年単位でかかります。
そのためコンテンツ製作者をアサインするには、以下方法のいずれか、または複数を選択します。
- 専門知識をもっている人をアサインする
- スキルをもった人を採用する
- アウトソースして期待するコンテンツを調達する
高くつきますが、取り扱う分野の専門家や影響力のある有名人にオファーをする方法もあります。
9. コンテンツの公開
コンテンツが完成したら、次は公開に向けた準備に入ります。
社内の人間に提供予定のコンテンツを見てもらい、複数の観点から意見を集めてより良いものに改善するのです。
それがひと通り終了したら、TwitterやFacebookなどソーシャルメディアへの投稿を指定時間で行うようにします。
アイキャッチ画像や広告用の素材を入れると、見栄えが良くなるので効果的です。
10. コンテンツの宣伝
公開したコンテンツを見てもらうためにウェブ広告や知り合いを使った配信を行います。以下に良く利用されるウェブ広告を列挙します。
- Outbrain
- Google Adwords
- Facebook広告
- Twitter Business
- Advertising on Instagram
- Yahoo!コンテンツディスカバリー
- Yahoo!プロモーション広告
広告内容に合わせてランディングページを最適化し顧客の関心を引くようにしておくと効果的です。
検索エンジン経由も重要な流入元ですが、必ず順位が上がり自然にトラフィックが増えることが保障されているものではありません。
人と個人でのつながりを作っておくことでコンテンツを受け入れてもらいやすくなります。以下の方法でコンテンツを紹介するのも効果的です。
- メールで紹介
- 対面で紹介
- ソーシャルメディア
- ダイレクトメールの活用
知り合い以外にコンテンツを紹介していもらうには、アウトリーチを活用するのが効果的です。
日本語対応したアウトリーチツールを見かけないのですが、関連テーマについて書いている個人ブロガーやメディア関係者に接触して紹介してもらう方法です。
11. 効果測定
最初に決めたゴールに対して効果測定を行い、改善へのアクションプランを立てていきます。
ウェブサイト上の指標と、アーンドメディア上の指標、ビジネス上の指標があります。
ウェブサイトの指標
- トラフィック
- PV数
- セッション数など
- 検索項目
- 検索エンジン経由の流入数
- ランディングページ
- 検索キーワードなど
- エンゲージメント
- サイト滞在時間
- リピーター率
- コメント数
- 口コミ数など
アーンドメディアの指標
- ソーシャルメディア内のリーチ数
- Facebookシェア数
- Twitter投稿数
- アーンドメディア別サイト流入数
- 被リンク獲得数など
ビジネス上の指標
- コンバージョン
- 問い合わせ数
- 会員登録数
- 応募数など
- 顧客獲得
- 見込み客獲得数
- 新規顧客獲得数など
- 売上
- 販売数
- 平均購買単価
- 顧客単価
- 再購入率など
始めていきなりうまくいくとは限らないので、最初はテストのつもりで取り組むべきです。そして思うようにいかなければどこが原因なのか?を探り、それを改善してまた公開、と常に改善とアクションのサイクルを回すことが大事になります。
改善を繰り返していけば最後に残るのは正しい方法だけなので、諦めずに改善をしていくことが大事です。
コンテンツマーケティングの戦略的な導入にあたって
こうして見るとステップが多くて大変ですが、導入よりも運用開始後にコンテンツを作り続ける、配信し続ける事に多くの時間を使うことになります。
最終的には独自の戦略を確立させ、競合他社よりも優れたノウハウを身に着けて行きたい所です。
しかしコンテンツマーケティングは複数の要素が関係しあっているため、戦略確立のためには1つ1つ要素を噛み砕いて理解する時間を必要とします。
最初はコンテンツマーケティングを通じたお客様とのコミュニケーションを体感して、コンテンツマーケティングとはどのようなものかを理解することから始まります。
お客様とのコミュニケーションを通じ、しっかりした関係性を構築してこちらに興味を引き続けておくことです。
そこから2年3年と続く計画を立てて、徐々にコンテンツマーケティングを強化していくことが大切です。
引用・参考情報
[1] Competing With Content Marketing: 7 Steps to Success [Infographic]
The survey revealed a number of interesting trends. For example, nearly three quarters (71%) of businesses are creating more content in 2015 compared to 2014 and only 12% feel they have an optimised content marketing strategy.
[2] Competing With Content Marketing: 7 Steps to Success [Infographic]
[3] 2016 Benchmarks, Budgets, and Trends—North America / B2B Content Marketing Spending
(Over Next 12 Months) P26
[4] 2016 Benchmarks, Budgets, and Trends—North America / B2B Content Marketing Spending
(Over Next 12 Months) P10
2016/2/9 追記・編集
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